mottoたのしいギターの世界

エレキ・アコギ合わせて17年間ギターの製造に従事した元職人。数多くのアーティスト本人使用モデルの製造に関わってきました。現在はギターをもっと楽しみたい方、練習にちょっと疲れちゃった人の為の雑学やお役立ち情報を、ギター業界の中の人ならではの裏話を交えてお届け中です。

ギターの塗装の本当の話,2

アッキーの知っているギターの世界へようこそ!

 

ギターは楽器ですが、企業という組織が商売のために製造販売している製品です。

芸術、文化の側面と、経済活動のバランスなのです。

 

 

  • 学術的にはそうなのかもしれないけど、実際は、、、

  • 会社として工場で製品を作るということは、、、

 

机上の理論と現実が違うことはギターに関わらずたくさん溢れていますよね?

 

というわけで今回も私のギター塗装歴17年の “経験と知識だけ“  で送りたいと思います。

 

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アッキーモデル中塗り中の1コマ

前回、塗装の厚さは技術の問題で塗装の問題ではない事を書きました。

いかなる塗料を用いても、適切な厚みに仕上げることが前提で話をしますと、塗料の種類によっての1番の違いは硬さです。

 

 

《結論》

塗料は硬さが特徴を決める!!

 

ここで一旦整理しましょう。

 

ギターの音が響く原理として大きな要因として

 『表甲の振動』があげられます。そうですボディトップがどれだけ振動するかということです。

 

振動するメカニズムは今回割愛しますが、より音が響くようにと

 

  • 使用する木材の選定と設計
  • 力木(ブレーシング)の設定と精度
  • ボディの大きさたと形状

などなど、木で太鼓を作るわけです。お手持ちのギターを軽くトントンとたたいてみてください、木の太鼓ですよね、でもそこで

 

塗装が、この振動を妨げになってはいけません!!

 

《ラッカー塗料》

硬いんですよ!んんん、一口に硬いで片付けられないんだけど、硬いんですよ。研磨紙で(#1000相当)で磨くと簡単に研磨できるのですが、

『例えるなら固めた砂のような感じです。』

そのものは硬いんです。そして完成してからも何年もかけて硬化を続けます。

そして薄く仕上げれる塗料ですが硬いので、何年も使っていると保管状態によってはウェザークラックというひび割れを起こします。

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私のギブソン.サンダーバードのヘッドです

細かく降る雨のようにひび割れます。

 

  • ラッカーは薄く仕上げるのに向いている
  • 硬いので厚塗りすると逆効果
  • 完全硬化後(製造から何年かかかる)ひび割れを起こしやすい(保管状態にもよる)
  • 固めた砂のような感じ、完全硬化まで何年かかかる
  • 完全硬化前は柔軟なので傷がつきやすい
  • ゴム製のスタンドなどにかけておくと、化学反応で塗装が劣化したり、扱いはデリケートです。

 

《アッキーズインプレッション》

  • ラッカー塗料を用いた塗装膜は柔軟性にかけるので、同質の同材に同量塗布した場合、ポリウレタン塗料と比べ硬い音質になる印象があります。

(裏話ですが)

自身もギブソンのラッカー仕上げを使用しますし、ラッカー仕上げのギターを嫌うわけではないですが、長年ラッカー塗装の作業工程に苦しめられてきたので、ラッカーに良い印象が持てなくて、、、

 

 

この続きはいつかラッカー塗装の裏側編で書きます。

 

では今回はここまで

次回、ポリ塗装には似て非なる“ポリウレタン”とポリエチレン“塗装がある!?でお会いしましょう、

 

アッキーでした、バイバイ!